ちょっと多肉趣味が進んでくると必ず手を出すハオルチア!しかし、育て方にいろいろ戸惑いが多いのも事実です。そんな疑問をスッキリ解決しちゃいます!

今回はハオルチアにスポットを当てて、初チャレンジの皆さんを勇気づける、今さら聞けない多肉あれこれシリーズ第一弾を書いてみたいと思います。もう数鉢以上育ててるよ!という方も、もしかしたら新しい発見があるかもしれません。ぜひ最後まで読んでみてくださいね♪

ハオルチア、実は丈夫な植物!?

さて、お店に足を運ばれて最初のハオルチアを見た方の多くが「ハオルチアって何か弱そうですよね」と言われます。確かにブロンズ姫や秀麗のようなどこでも育つ多肉と比べたら多少は弱いかもしれませんが、ハオルチアは多肉の中でも意外と丈夫な植物です。

えーーー、そんな事ないよ!枯らしたよ!
そんな方もいらっしゃると思いますが、次の点において、ハオルチアは非常に丈夫です。

1.加温設備がいらない
積雪、霜が当たらない場所で乾燥させておけば、0度ぐらいまでの寒さならちゃんと耐えてくれます。積雪のないエリアなら、雨の当たらない屋外での通年育成も可能です。他の多肉植物と比べるなら、ユーフォルビアや一部エケベリアよりも断然強いです。
2.水切れに強い
葉っぱはシワシワになりますが、乾燥には非常に強いです。乾燥からの復活もさほど難しくありません。蒸れに弱いのは他の多肉と同じなので、夏の間は水を切っておくと管理が非常に楽ですね。
乾燥に耐えているハオルチア 乾燥に耐えているハオルチア

3.見た目で状態がすぐにわかる
葉っぱが赤くなる、葉がシワシワしてくる、葉っぱが立ち上がってくる…など、ハオルチアは自分を取り巻く環境の変化に対して非常に見分けのつきやすい変化があります。こうしてほしいんだな・・・とアタリをつける事ができるのが良いですね。植物は声は出せないですが、自分の色を変えたりメッセージはちゃんと外に出しています。毎日観察してあげることでそういったメッセージを的確に理解できるようになります!
ちょっと赤みを帯びているハオルチア 太陽に当たり少し赤みを帯びているハオルチア

どうでしょう?
多肉の多くは寒さの耐性がそこそこあり、ハオルチアも例に漏れずそこそこの低温まで耐えてくれます。マイナス気温にならなければ、ハオルチアには特に加温設備は必要ないので、設備を気にせず気軽にベランダに出しっぱなしでも育てられます。

他の多肉と同じように、ある程度の断水にも耐えてくれます。さすが乾燥地帯の植物!1ヶ月ぐらいの断水でも耐えますので、観葉植物のように毎日お水やりをしないといけないから旅行にいけない!というような事もありません。断水は「可能」なだけで、育成にはもう少し水が必要ですから、1ヶ月に1回水をやればいいんだ?と勘違いしないように注意です。

ハオルチアにも確かに、突然枯死というのはありますが、それはどの植物でも同じ事。通常の育成の範囲内のほとんどの何かが足りない、何かがありすぎるという時に、ハオルチアはメッセージを出してくれます。普段から植物をよく観察・鑑賞していればすぐにわかるようになります。

ちょっと育てられそうな気分になってきましたか?

確かに簡単そう!
でも…うちでは枯らしちゃったし…何が間違ってたの?
まだそんな声が聞こえてきそうです。
次では、ハオルチア初心者によくある勘違いをまとめてみたいと思います。

ハオルチアの常識/非常識:明るい日陰って何だろう?

ハオルチアというと、ほとんどの初心者さんが「水がいっぱい入ってるみたいで、とってもキレイで、日陰で育てられる多肉」と言われます。また、多くの人が「真っ暗なトイレや脱衣所に置いても大丈夫」と思っています。

確かに水みずしくてとってもキレイ!正解!
真っ暗なトイレや脱衣所でも育て…られません!!不正解!

小学生の理科で習いましたね、光合成。「光」合成。
そうなんです。光のない所では、ハオルチアに限らずどんな植物も育ちません。どうしても植物を育てたいなら、鍾乳洞に生えるコケみたいな物なら育つかも…責任はもてませんが。

ハオルチアというと「日陰で育てられる」と思っている方が多いです。確かに、ハオルチアを育成するには日陰が向いています。が!しかし!日陰って、一体どこからどこまでが日陰なんでしょうか?

メデルでは、日陰には4段階ある事といつも説明しています。

1.明るい日陰
2.日陰
3.暗い日陰
4.真っ暗

順番に説明していきます。

1.明るい日陰
太陽のあたる場所のすぐ隣や、木漏れ日などで多少日が当たったりする、非常に明るい日陰。ちょっと耐陰性のある植物なら元気に育つ。
ルクス値は10000~15000ほど。

2.日陰
一般的な日陰。直射日光が当たる事はないが、暗いと感じない。ある程度耐陰性がある植物なら育つ。
ルクス値は1500~10000ほど。

3.暗い日陰
暗いと感じる日陰。森の中や、ビルの合間など、日中でも暗い。かなり耐陰性の高い植物以外は育たない。
ルクス値は200~1500ほど。

4.暗い、真っ暗
何があるのか目ではっきりと見えない。あるいはまったく見えない。植物は育たない。
ルクス値は200以下。

ハオルチアはちょっと耐陰性のある植物なので、初心者の方は1の明るい日陰で育成すればほぼ失敗はありません。少し日光があたるぐらいでも構いません。初心者はその方が失敗が少ないので、何年か育成して慣れてくるまでは、少し自分の想定よりも明るめの所での育成をおすすめします。数年育成して慣れてきたら、ギリギリのルクス値まで下げてみても良いと思います。ちなみに、ハオルチアに近い種属のガステリアはある程度耐陰性がありますので、2の日陰でも育ちます。

トイレなどに植物を置きたいなと思っている方が多いですが、ほとんどの場合、トイレは4です。使っていない時は電気が消えていますので、かなり暗いか、ほぼ真っ暗。ここではほぼすべての植物が育ちません。

ちなみに何度も出ているルクスという単語ですが、照度という明るさの強度を測るための数値です。今は携帯アプリで照度計が出ているので、いろいろ探してみても良いと思います。

さあ、置き場所はこれで解決ですね!次は水やりと土についてです!

ハオルチアの土、水やりは?

土については皆さんプロの方もいろいろこだわりがありますが、ここではメデルが提案する初心者向けの用土と水やり方法を解説します。
メデルのおススメのベース用土は赤玉土を中心としたブレンドで、赤玉土小粒を7、元肥入りの野菜の土を3です。

この土を使う理由は、①誰でもどこでも手に入る事、②あれこれ悩まなくていい事です。趣味を始めた頃によくあるのが、どんな土のブレンドにしたらいいかわからない!と土をいろいろ買ってしまう事です。しかし、土を配合するにはそれぞれ使う理由があり、それを知らずに混ぜても逆効果。知らない薬品を混ぜているようなものです。ですので、用土に迷ったらまずは赤玉土100%か、赤玉野菜ブレンドをおすすめします。

赤玉土100%で土を作る場合、栄養が足りないのでマグアンプを混ぜたりしますが、元肥入りの野菜の土を使う事で、マグアンプなどの肥料を入れる必要がありません。2種類の用土を買うだけで作れるので優秀です。

野菜の土のデメリットも同時に紹介します。野菜の土は微粉が多いので、環境によっては少し乾きにくいのが特徴です。もし乾きにくいな、と感じたら2つ簡単な対処法があります。

1.全体的に植え込む土を減らす
2.赤玉土の比率を上げる
3.軽石を混ぜる

1は底石を入れたりする事で、使っている用土そのものを減らしてしまうやり方です。鉢底までギッシリ土を詰めなくても良いのと、余分な出費がないので、お手軽でおすすめの方法です。底に敷くのは鉢底石でもよいですが、発泡スチロールなどを手でちぎった物でもOKです。
2はそのままですね。赤玉土を増やす事で乾燥しやすくします。他の種類の用土を増やさない事で、出費も悩みも少ない選択肢です。
3は現在の用土に軽石を混ぜ込む事で乾燥しやすくします。軽石がちょっとした出費になりますが、コントロールしやすい用土になります。

さて、用土についてはこのぐらいで、最後に水やりについてお話します。

ハオルチアの水やりは簡単です。1週間に一度、たっぷりと、鉢底から出てくるまでやりましょう。もしベランダなどで夏場が超高温多湿になる!とわかっているのであれば、水やりを減らしましょう。夏場7月~9月の間は、水やり間隔を2週間~4週間に一度まで減らしても大丈夫です。
冬場でも水やりは必要です。1週間~10日に1回は水をやってください。

さいごに

どうでしたか?
ハオルチア育成、そんなに難しくありません。まずは一歩を踏み出して、わからない事はどんどん聞きましょう。そしていつかは交配をして自分の名前をつけた品種を作るぐらいまでになりたいですね!



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