皆さん、道具使ってますか?
最初の多肉植物ってホームセンターだったり、雑貨屋さんなどで買うことも多いと思います。そうすると、道具って「100均でいいや…」となりがちなんですが、いざ使ってみると、やっぱり100円の道具は使い物にならない事が多いのです。
生花と違って、長いお付き合いになる多肉植物。どうせなら、道具もいい物を使いたいなと思った時に何を買ったらいいのか?どんな基準で選んだらいいのか?メンテは?価格は?
いろいろな質問を刃物の専門店さんに聞いてきました!

正長刃物店さんにインタビューしてきました。

正長にて
写真:バルタン星人のようなポーズもこころよく引き受けて下さいました。フォッフォッフォ。

表記: 正長刃物店:正 メデル:メ

 
メ:
 
道具ってロマンがありますよね。
多肉植物というジャンルにはあまりプロの道具というモノがないのですが、同じ植物関係で剪定ハサミについて、岡崎市の連尺通りにある刃物の専門店【正長刃物店】さんにインタビューをしてみたいと思います。
正長さん、今日はインタビューを引き受けて下さってありがとうございます!
 
正:
 
いえいえ、こちらこそハサミに興味を持って頂いてありがとうございます。
 
メ:
 
今日は多肉植物に使うハサミ、中でも特に「剪定ハサミ」について、いろいろ教えて頂けたらと思っています!
 
正:
 
よろしくおねがいします。
 
メ:
 
正長さんの刃物は、実家で裁縫用の裁ちばさみをずっと使っていたので、実は常連というか、個人的にはとても信頼しているのですが、まだ正長さんを知らないよ、という人のために、お店の紹介をして頂けますか?
 
正:
 
はい。正長刃物店は、1921年に創業して、今年で93年目を迎えます。まだ代替わりしたわけではありませんが、私の代で4代目になります。
 
メ:
 
93年!
 
正:
 
老舗店舗ですが、5年半ほど前に店舗の改装工事をしましたので、お店はとてもきれいです。
 
メ:
 
昔のお店も知っているので、モダンな内装になっていてビックリしました。
 
正:
 
ありがとうございます。

どんな商品を取り扱っていますか?

他にもハサミ
 
メ:
 
一口に刃物と言ってもいろいろあると思うのですが、正長さんでは、どんな刃物を主に取り扱っていらっしゃいますか?
 
正:
 
刃物で主に取り扱っているのは、剪定刃物と包丁ですね。それ以外にも彫刻刀、斧、爪切り、キッチン関係の物も取り扱っています。
 
メ:
 
剪定刃物というと?
 
正:
 
今日お話する剪定用のハサミも含むのですが、カマや刈り込みハサミ、剪定ハサミや活花用のハサミなど、幅広く「植物を切る」ための刃物です。
 
メ:
 
いいですね、植物を切る!
ちなみに、正長さんで取り扱っている刃物の中で、これは他の所ではあんまり取り扱っていないよ、というモノってありますか?
 
正:
 
ウナギをさばくための専用の包丁がありますよ。
鰻を捌く専用の包丁
 
メ:
 
すごいマニアックですね。
 
正:
 
そうですね、かなり専門性の高い商品です。地域によってスタイルが違うので…
<鰻包丁談義が続く>

1.剪定ハサミについて

 
メ:
 
かなり逸れてしまいました(汗
では、本題に戻って今日は剪定ハサミについてお話をして頂きたいと思うのですが、実は今日のこの対話が待ちきれなくて、剪定ハサミを買ってしまったんですよ。
 
正:
 
お買い上げありがとうございます(笑
鋼鉄のグリップがすごく手にしっくりきます。
写真:鋼鉄のグリップが手に吸い付きます。
 
メ:
 
このハサミは「剪定ハサミ」だと思うのですが、特徴について教えて頂けますか?
 
正:
 
そうですね、そちらはいわゆる剪定ハサミで、B型剪定ハサミと言う種類の物です。グリップ形状の差で、A型剪定ハサミもあります。どちらも、太い枝でもよく切れる、非常に切れ味のいいハサミです。
B型剪定ハサミとA型剪定ハサミを並べてみました。
写真:左がB型。右のA型はグリップが尖っている
 
メ:
 
チョキンではなくて、シャコンッ!という音に惚れました。
 
正:
 
ありがとうございます(笑

2.鉄 vs ステンレス

 
メ:
 
多肉植物は意外とやわらかかったり、硬かったり、中にはトゲだらけだったりする物もあるので、切れ味が良いというのは嬉しいですね。一般的な市販品のハサミと比べてはどうなのでしょうか?
 
正:
 
そうですね、市販のステンレスのハサミも切れないという事はないです。しかし、市販のハサミは研ぎなおしをする事を想定していないので、壊れたり、切れ味が悪くなってしまうと基本的には買いなおしになってしまいます。
その点正長では、研ぎもやっておりますので、切れ味が落ちてきたり、刃こぼれしたり、錆びてしまったりという場合でも対応が可能です。錆びについてはあまりにも酷い場合は研ぎで対処できない場合もあります。
 
メ:
 
錆びるという事は、基本的に素材は鉄なんでしょうか?
グリップ感がすごくいいですね。手に吸い付く感じというか。
 
正:
 
そうです。包丁と同じで、心材とそれ以外で強度や特徴の違う鉄を合わせて製作しています。ステンレスでも切れないという事はないのですが、やはり切れ味という点においては、鉄が一番硬くて切れます。また、先ほど言ったように、ステンレスでも研ぐ事で切れ味が復活するのですが、切れ味の持ちという点では鉄にはかないません。
グリップを手で持った時の感じも鉄ならではの触感だと思います。

3.剪定ハサミのメンテナンス

椿油スプレー
写真:刃物用の椿油
 
メ:
 
日常のメンテナンスというのはどうするでしょうか?
 
正:
 
特に普通に使う分には、使い終わった後に水分をふき取る程度で問題ありません。もし、もっとキレイに使いたいというのであれば、定期的に刃物向けの椿油をご利用いただく事をお勧めします。毎回使用後に塗布する必要はありません。
椿油は錆び止めの効果がありますので、、刃先だけでなく、留め金のネジ部分やグリップ部分も含めた全体に使って頂くとよいと思います。

4.剪定ハサミの切れ味が悪くなったら?

 
メ:
 
切れ味が落ちてきたり、刃がかけてしまったらどうしたらよいですか?
 
正:
 
正長刃物店では研ぎもやっておりますので、ぜひお店までお持ちください。混み具合にもよりますが、通常は数日~1週間ほどでお手元にお返しできます。
両面使える砥石
写真:研ぎと仕上げと、両面で使いわけられる砥石。
 
メ:
 
自分で研ぐ、という選択肢もありますか?
 
正:
 
そうですね、砥石の販売もしておりますので、ご自分で研いで頂く事もできます。例えばこちらは研ぎと仕上げが両面にくっついた便利な砥石で、小さめのナイフや包丁ならこういった物をお使い頂くといいと思います。
ハサミの研ぎはナイフより難しく、調整や慣れが必要なので、できれば持って来て頂く事をお勧めします。メンテナンスすれば、10年20年という期間で使える道具ですので。

5.剪定ハサミの消毒について

 
メ:
 
長い期間使える道具。道具も「愛でる」ですね。
さて、店名が出た所で(?)、多肉植物を切るときには刃を消毒しなさい、とよく言われるのですが、どのような消毒方法をお勧めされますか?これはやらないほうがいいよ、という方法もあったら教えてください。
 
正:
 
刃の消毒というのは少し専門外なのですが、ライターなどの「火であぶる」というのは絶対にやめてください。
火はダメよー
写真:火であぶるのはNG
 
メ:
 
火はダメですか。
 
正:
 
ダメです。針のような物でしたら、針先をかるく火であぶって消毒するというのはありえるのですが、今回の剪定ハサミのように鍛造されて作られた製品は、熱を加えると強度が落ちてしまいます。
刃の強度が落ちると、刃こぼれの原因になったり、研いでもすぐに切れ味が落ちてしまったりと、悪い事ばかりです。
 
メ:
 
火がダメなら、消毒はどうやってやったらよいでしょう?
 
正:
 
基本的には、刃先に気をつけて家庭用の中性洗剤と、大目の流水で洗って下さい。どうしても気になるようであれば、消毒用のエタノールが薬局で購入できるかと思いますが、基本的には洗剤と水で大丈夫です。
もし樹液がどうしても落ちにくい、という場合は刃物用のクリーナーもありますので、まずクリーナーで刃をきれいにしてから消毒されるといいと思います。

最後に

 
メ:
 
正長さん、インタビューを通じていろいろな質問に答えて下さってありがとうございました。お話をしながら、自分が今回買った剪定ハサミは大事に使わないと!という意識が芽生えてきました。
メデルに多肉植物を買いに来て下さるお客さん達にも、こういった長く使える物の価値観をぜひ知ってもらいたいと思います。
 
正:
 
メンテナンスの簡単さなどを考えると、ステンレスのハサミを買うというのはアリだと思っています。ですが、もしご自分でメンテナンスをやってみたい、ずっと1つの道具を長く使ってみたいというのであれば、ぜひ、ご自分の手に合ったいい物を買って頂きたい。そして長く使うためのサポートは正長にお任せ頂きたいと思います。
 
メ:
 
インタビューありがとうございました。
 
正:
 
ありがとうございました。

あとがき

実はこの後、一緒にご飯を食べに行きました(笑

やっぱり、良い物に触れる機会があると、良さがわかりますね。
剪定ハサミを作っているのは鍛冶屋さん。
高齢化が進み、このハサミもいつまで作られるかわかりません。
今回買ったハサミは今後10年使っていける。
コレクションしている多肉植物も10年後までちゃんと生かせるといいなと思いました。

今回インタビューに応じて頂いた正長刃物店の情報はコチラ:

長刃物店
住所: 〒444-0046 愛知県岡崎市連尺通1-7
電話: 0564-21-2313
営業時間: 9:00~19:00
定休日: 毎週木曜日・第4水曜日
駐車場: 2台
詳しくは下記のリンクからどうぞ。


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