いろいろな所で目にする実生(みしょう)という単語。この株は実生だから...とショップやセリ会、ブログなどで見たり聞いたりはしたものの、結局なんなのかよくわかっていない!というみなさんへ。

そもそも実生(みしょう)って何?

植物を種から育てる事を実生(みしょう)と言います。英語で言うとSeed Grown。種から育てる事は、非常に時間がかかりますが、普通に育てるのとは違う楽しみ方がいくつもあります。
実生の良い所、悪い所をしっかり理解した上で、楽しい植物ライフを送れるといいですね!

葉差しじゃダメなの?なぜ実生?

まず、多肉植物の増え方についておさらいしましょう。多肉植物は落ちた葉、枝分かれ、分頭などで増える事ができます。これらはクローンとしての増え方ですので、実はDNAは同じ植物です。DNAが同じという事は、見た目も成長の仕方も同じです。同じDNAの場合、もし特殊な病気が蔓延した場合、最悪のケースでは全滅してしまうかもしれません。

ではDNAに個体差をつける方法は...?

種をつけること、つまり、実生です。

雄しべと雌しべ、つまり、お父さんとお母さんのDNAが混ざり合う事で、葉っぱを差して出てくるクローンではなく、異なったDNAを持った子孫が生まれてくる、というわけですね。

つまり実生とは、「植物が多様性を獲得するための手段」なのです。

クローンじゃない増え方が実生。それだけ?

同種の植物を掛け合わせる場合、基本的にはそれだけ。一番ベーシックな、植物という生き物としてのスタンダードな増え方ですね。
例えば、ハオルチアのピリフェラを2株用意して、雄しべと雌しべをくっつけて種を付けた場合、親株のピリフェラに似た実生のピリフェラがたくさんできます。が、ここが実生の面白い所で、種を蒔くと葉っぱが太めな物、細めな物、長い物、短い物、斑入りの物、モンストの物など、大なり小なり親株とは少し様子の違う株が出てきます。

植物の趣味の観点から見ると、葉っぱの形が違ったり、斑入り株になったり、大型種や小型種ができたり、現状とは違うバリエーションが出現する、大いなる可能性を秘めているのが実生です。

また、実生は一気に大量の子株を増やせる、という点でも優れています。大量生産している農家さんはほぼ実生をやっていらっしゃいます。

サボテンなどの実生株の優位性

特にサボテンの世界では、選抜実生の個体がカキ子などのクローン苗よりも優遇されます。それはなぜか?理由は簡単、同じ株では種が取れないからです。

種を取るためには、違うDNAの株の雄しべ雌しべを使わなければいけません。趣味に本気であれば本気であるほど、種を取って自分の目指す樹形を作り上げていきたくなります。そのためには、理想となる形を目指して実生を繰り返すしかないのです。

そのため、サボテン愛好家の方の多くはカキ子株と比べて、実生株を優先します。1株しか育てない場合や、好きだけれど実生はしないよ、という場合はカキ子にももちろん需要はあります。ただ、どれだけ育てても新しい物はできてはきません。

すこしでも大きな葉っぱを、少しでも長い刺を、違う色の花を、いろいろな目標を立てて愛好家・趣味家の方は何十年も努力されているのです。

交配実生の楽しみ

近年大きな盛り上がりを見せているハオルチアやエケベリアの交配品種の最初の一株は全て実生からできています。人気のエケベリア・桃太郎はチワワエンシスとリンゼアナの交配と言われています。また、隣国の韓国では毎年たくさんのエケベリア交配品種が生まれています。
国内ではハオルチアの実生が盛り上がっています。オークションなどですごい金額になっているのを見たことがある方もいるでしょうし、盗難事件として報道された事でご存知の方もいるかもしれません。

交配の楽しみは、何と言っても父と母の中間品種ができる(かもしれない)という事です!!すごく透明な株に、すごく毛の多い株を掛け合わせたらどうなるのか…そんな自分のオリジナル交配品種の将来を妄想しながら種を育てるのは、また別の楽しみ方と言えるでしょう。

交配はそんなに難しくありません。
ぜひこの機会に、実生株や交配実生にチャレンジしてみましょう。



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