サボテンは存在が確認されているだけで5000種を超えると言われていますが、1属1種の品種はその中でも珍しい存在です。今回の植物記事では帝冠、Obregonia denegrii(オブレゴニア・デネグリイ)をご紹介します。

名前の由来

サボテン:帝冠とは (Obregonia denegrii オブレゴニア・デネグリイ)

帝冠 Obregonia denegrii(オブレゴニア・デネグリイ)は一属一種。
オブレゴニア属には帝冠という1つの品種しか存在しないんです。

「オブレゴニア」という名前は1920年~1924年にメキシコの大統領だったアルバロ・オブレゴン・サリード(Álvaro Obregón Salido)にちなんで命名されました。[1]

どこから来たの?

メキシコ・タマウリパス州(Tamaulipas, Mexico)が原産地で、現在はその希少性からワシントン条約の附属書I「今すでに絶滅する危険性がある生き物」として保護されています。
附属書Iに記載されている動植物は、『国境を跨いだ商業取引が原則禁止』なので、研究機関などでない限り、国内で流通している物は全て国内で繁殖されたものです。
現地では強烈な日差しから身を守るように、土に半分埋もれたように生えています。

帝冠の花

サボテン:帝冠の花 (Flower of Obregonia denegrii オブレゴニア・デネグリイ)

帝冠はきれいな白色の花を咲かせます。
花は日中だけ咲き、夕方になると花びらが閉じてきます。
花だけを見ると、ギムノカリキウム属の翠晃冠の花に少し似ていますが、帝冠は真ん中の綿の中から花が咲きます。
写真左は咲いている時、写真右は閉じている時。
同じ日に撮影しました。
帝冠は種で増えますので、同じ時期に花が咲いたら種をつけるチャンスです。

ちょっとハオルチアに似ている

サボテン:帝冠 (Obregonia denegrii オブレゴニア・デネグリイ)はハオルチアに似ている

帝冠を見た人は「ハオルチアにちょっと似てる」と思うことが多いです。
ハオルチアも、帝冠同様、土に半分埋もれたような形で育ちます。
ちょっと難しい言葉で、収斂進化(しゅうれんしんか)というコトバがあります。

斂進化(しゅうれんしんか)とは、複数の異なるグループの生物が、同様の生態的地位についたときに、系統に関わらず身体的特徴が似通った姿に進化する現象。
wikipediaより転載

ハオルチアはアフリカ、帝冠はメキシコ、離れていても住んでいる環境が似ているからなのか、似たような形に進化したのではないか?と感じます。
もしかして、もっともっと進化していった先では、帝冠もハオルチアのように光を取り入れる窓を作っていたかもしれませんね。

引用

[1] Etymological Dictionary of Succulent Plant Names, Urs Eggli, Leonard E. Newton (2004)



関連記事
メデルは移転しました! ...続きを読む
南アフリカ原産の塊根系植物、Tylecodon bodleyae(チレコドン ボドレイアエ)についてもっと知りたい! ...続きを読む
南アフリカ原産の塊根系植物、Tylecodon fragilis(チレコドン フラギリス)についてもっと知りたい! ...続きを読む
ちょっと多肉趣味が進んでくると必ず手を出すハオルチア!しかし、育て方にいろいろ戸惑いが多いのも事実です。そんな疑問をスッキリ解決しちゃいます! ...続きを読む
いろいろな所で目にする実生(みしょう)という単語。この株は実生だから...とショップやセリ会、ブログなどで見たり聞いたりはしたものの、結局なんなのかよくわかっていない!というみなさんへ。 ...続きを読む
植物の趣味が高じてくると、たまに耳にするようになる、ワシントン条約やCITES(サイテス)という言葉。聞いたことはあるけれど、一体どういう意味なのか?今さら聞けない!という人のためにざっくり説明いたします! ...続きを読む
連載第二回となりました!
前回は「統一感」というキーワードを頭に入れて配置するとかっこよくなるんだよ、という所までは何となくわかって頂けたかな~?と思います。ただ、統一感って、わかっちゃいるけどやめられないエビ煎的な、ふわっとわかってはいるんだけど、具体的によくわからない、という人も多いかと思います。そこで今回は、もう少し具体的な内容として、見た目の印象が変わりやすい植物の「密度」に着目してみます!
...続きを読む
新連載記事開始!
もっと素敵なレイアウトを考えてみませんか?

...続きを読む
いろいろな事情で植物を手放さなければいけない...そんな時に力になりたいと思い、サボテン・多肉植物の買い取り・引き取りサービスを始めました! ...続きを読む
サボテン・多肉ファンの皆さま、お待たせしました!メデル店長が今までの多肉趣味で培ってきた用語/単語集ができました! ...続きを読む
ユーフォルビア・スザンナエ (ドラゴンボール or 瑠璃晃)(Euphorbia suzannae)は南アフリカ原産の人気ユーフォルビアです。今回の記事では、普通には出回らないいろいろなタイプのスザンナエをご紹介していきます! ...続きを読む
Medelle 多肉植物の店~メデル~にはいろいろな多肉植物やサボテンが入荷します。
個性的な姿形をしている品種、面白い背景を持つ品種など、いろいろとご紹介できたらと思っています!
今日ご紹介するのは、晃山(光山) Leuchtenbergia principisというサボテンです。この不思議な形のサボテンについて、もっと知ってみましょう! ...続きを読む
皆さん、道具使ってますか?
最初の多肉植物ってホームセンターだったり、雑貨屋さんなどで買うことも多いと思います。そうすると、道具って「100均でいいや…」となりがちなんですが、いざ使ってみると、やっぱり100円の道具は使い物にならない事が多いのです。
生花と違って、長いお付き合いになる多肉植物。どうせなら、道具もいい物を使いたいなと思った時に何を買ったらいいのか?どんな基準で選んだらいいのか?メンテは?価格は?
いろいろな質問を刃物の専門店さんに聞いてきました! ...続きを読む
Medelle 多肉植物の店〜メデル〜が岡崎市を含む三河エリアの情報誌「咲楽」に掲載されました! ...続きを読む
5000種にもなるといわれるサボテンたちは多肉植物の中の一大勢力。
どこか愛嬌があって、かわいいですよね。そんなサボテンが登場するテレビCMを集めてみました。 ...続きを読む
新しい事をいろんな人とやりたい!と活動を続けているMedelle 多肉植物の店~メデル~ですが、今回は鉢業界の中でも格調の高い「おもと鉢」の製造をされている安城市の(有)愛楽園さんとのコラボレーションが実現しました! ...続きを読む
岡崎市の名物タウン誌リバ!(正式名称:一番ディープな岡崎本リバ!)に掲載されました!掲載されたのは「街ネタ」コーナーで、34ページにMedelle 多肉植物の店~メデル~の紹介がされています。
...続きを読む
みなさん多肉植物育ててますかー?
暑くなる夏、多肉植物にとっても大変な時期ですね。この人にも植物にも厳しい夏を乗り切るためにも、また、その後に控えている秋・冬のためにも、多肉植物を育てるときにぜひ知っておいてほしい5つの事があります。 ...続きを読む
2014年6月15日、愛知県岡崎市に待望の多肉植物専門店「Medelle 多肉植物の店~メデル~」がオープンしました! 多肉植物のみの販売としては市内初、近隣の豊田市、安城市、知立市などにも専門店がない事から、エリア内の多肉植物愛好家には嬉しい知らせ!? お近くに来られた際は、ぜひお立ち寄り下さい! ...続きを読む